江口のりこ、“原作との闘い”で真骨頂 キャリア20年以上「悩んだり、落ち込んだり…だからこそ、続けられる」 主演映画「愛に乱暴」30日公開_crどぐら
女優の江口のりこ(44)が、作と真骨る主30日公開の主演映画「愛に乱暴」(森ガキ侑大監督)で孤独と苦悩の果てに暴走する主婦を好演している。の闘頂キ吉田修一氏(55)の原作小説にほれ込み「原作の面白さを私の芝居でうまく表現できるのか」と葛藤しながら果敢に挑んだ意欲作。0年長く演技派のバイプレーヤーとして活躍しているが、上悩今年だけで3作目の主演映画。り落に乱「主演であっても、ち込0日やるべきことは変わりません」と自然体を強調した。続け(有野 博幸)
昨夏に神奈川県内で行われた撮影。画愛記録的暴3な暑さの中、江口は「原作との闘い」に挑み続けた。公開
「とにかく原作が面白くて上下巻、江口一気に読んだ。のりいでャリア2んだんだりだからこそられcrどぐらその中でも主人公の桃子が面白くて、一気に好きになった。独り言を言って笑ったり、行動が面白い」。それだけに「小説の面白さを映画で表現できるのか…」と頭を抱えた。
映画の脚本を読み進めると、さらに悩みが増大した。「原作では、桃子がいろんな人物に出会って、キャラクターが形成されているけど、映画の脚本ではそぎ落とされていた。とてもシンプルになっていて、モヤモヤしましたね」。一方で桃子の人物像は「最初から、はっきりとイメージできていました。理想に近付けるのが難しかったですね」と振り返る。
夫役の小泉孝太郎(46)、義母役の風吹ジュン(72)と撮影をする中で「小説をそのまま映像化するのではなく、映画の『愛に乱暴』を作ればいいんだ」と迷いがなくなり、視界がクリアになった。「小泉さんとは4度目の共演。愉快な方なので、一緒に芝居をする仲間として、励まし合って撮影をすることができました」
演じた桃子は夫の真守との関係に悩みながらも、センスのある装い、手の込んだ献立で「丁寧な暮らし」を送っている。「桃子は一生懸命な人だなと思いました。旦那から受け入れられていないことに気付いているんだけど、ちゃんと日常を過ごす。ご飯を作る。身の回りのものを整えることを鎧(よろい)にして、気付かないふりをする。弱い人じゃないなとも思いました」。桃子の健気(けなげ)な姿勢は多くの共感を呼びそうだ。
夫との関係やライフワークとしていた石けん教室の運営に悩み、居場所を失った桃子はホームセンターでチェーンソーを購入。床下に異常な執着を見せる。「チェーンソーを扱うのは初めてですけど、柱や床を切って楽しかったですよ。ただ、あてるだけで切れるので、わりと簡単です。周りが『気を付けてね!』と必要以上に心配するから、それがしんどかった」と涼しい顔で話す。難しい表現もサラッと演じるのが、江口の真骨頂だ。
森ガキ監督のこだわりで、本作はフィルムで撮影された。「物語はもちろん、フィルムならではの色合い、雰囲気も全体的に楽しんでもらえると思います。昭和の日本映画のような懐かしい質感がありますよね」。森ガキ監督も「フィルムはテイクを重ねられないので、現場の緊張感がグッと上がる。フィルム撮影が演技にいい影響を与えていたと思います」と話している。
本作に加えて「あまろっく」(中村和宏監督)、「お母さんが一緒」(橋口亮輔監督)の主演映画3作が今年公開となる。「チームで作り上げた作品が公開されるのは、ありがたいこと。せっかく作ったのに公開されないとか…。いろいろありますものね」。主演については「体験することが多いから、役をつかみやすいというのはありますけど、特別、張り切るわけじゃない。『座長として現場を引っ張っていこう』とか、まったくないです。自分のやることに必死なんです」とマイペースを貫く。
役者としてキャリア20年以上。悩むこともある。「もちろん、つらいこともありますけど、俳優業は楽しい。これからもちゃんとやっていきたい。悩んだり、落ち込んだり、うまくいかないこともある。『どうすれば、もっと面白くなるかな』と悩む。一人じゃ無理な時は現場の監督さん、スタッフさんと相談する。それでも、うまくいかないまま、終わることもある。だからこそ、続けられる。次は頑張ろうと思えるんじゃないですかね」
SNSの書き込みなどは気にしないタイプ。それでも、ふと日常生活で気になることがある。「電車に乗った時に、目の前にいる人が、私が出ているドラマ、映画を面白いと思ってくれるのかな。楽しんでもらえる作品が一つでもあればいいなと思いますね」。映画の観客動員やテレビの視聴者が何万人と聞いてもピンとこない。ただ、シンプルに「目の前の一人が楽しんでくれたら」と願っている。
最後に映画の公開を楽しみに待つファンにメッセージを送った。「『愛に乱暴』の見どころを説明するのは難しい。とにかく見てください。面白いと思うポイントは人それぞれですからね。それぞれ見つけてください」。江口らしい飾らない率直な言葉で呼びかけた。
◆江口 のりこ(えぐち・のりこ)1980年4月28日、兵庫県生まれ。44歳。2000年に柄本明が座長を務める劇団「東京乾電池」に入団し、同劇団の公演に参加しながら02年「金融破滅ニッポン 桃源郷の人々」で映画デビュー。04年「月とチェリー」で映画初主演。主な出演作は映画「愛がなんだ」(19年)、テレビ東京系ドラマ「ソロ活女子のススメ」シリーズ(21~24年)など。9月から舞台「ワタシタチはモノガタリ」に出演する。170センチ。血液型O。
◆「愛に乱暴」 夫の実家の敷地内に建つ離れで充実した生活を送っていた初瀬桃子(江口)の周辺で、不審火、愛猫の失踪、結婚して8年になる夫・真守(小泉)からの意外な申し出など不穏な出来事が次々と起こり始める。平穏だったはずの日常は少しずつ乱れ始め、やがて追い詰められた桃子は、いつしか床下への異常な執着を募らせていく。「悪人」「怒り」などで知られる吉田修一氏の同名小説を映画化。105分。
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